2019/06/18

公開シンポジウムのご案内

 第102回定例研究会を西南学院大学において開催します。 
 定例研究会プログラム

 その中で,公開シンポジウムを実施します。

 参加費 500円 (学生無料)

 6月29日(土)15:30より

 受付 西南学院大学  1号館 2階 玄関ホール

 ※公開シンポジウムのみの参加も可能です。



 公開シンポジウム

「カリキュラム・マネジメント再考」


シンポジスト
石井 英真 (京都大学 准教授)
田村 知子 (大阪教育大学 教授)

コーディネーター(予定)
千々布敏弥(国立教育政策研究所)

 今次改訂学習指導要領のキーワードの一つとして、カリキュラム・マネジメントが挙げられる。この語について学習指導要領は、「各学校においては,児童や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。」と記している。
 本学会は 1983 年に『地域に根ざす授業の条件づくり』と題する教育課程経営に関する図書を上梓している。教育課程経営を教育課程に関する条件整備と位置づけ、その編成のあり方を含めた PDCA サイクルのあり方を提言した斬新な書である。その後の中留武昭元会長と田村知子会員による同テーマに関する諸著作は、今日のカリキュラム・マネジメント概念を牽引するものと言えよう。そうであるからなおのこと、本学会発祥のカリキュラム・マネジメントがそのまま国の教育課程行政を後押しする概念として活用される状況を批判的に見直す必要性があると考えている。大きな視点の相違は、本学会のカリキュラム・マネジメントが学校経営(マネジメント)を基点としているのに対し、学習指導要領は教育内容に関する国の基準という性質から教育課程(カリキュラム)を基点としていることである。アクティブ・ラーニングをめぐり、教育内容の基準であるべき学習指導要領で教育方法を記述することの是非が議論されたのと同様に、学習指導要領で学校経営が記述されることの是非を議論する必要がある。法や学習指導要領の規定に関係なく各学校は学校組織も教育課程も「経営」する必要があることは無論であるが、そこにおいて学習指導要領がどのように影響するのか、どのように影響すべきなのか、各学校における教育課程経営を含めた学校経営はいかにあるべきか、今一度見直す必要がある。その思考実験のため、教育方法学の立場から授業研究とカリキュラム・マネジメントに深くコミットしつつある石井英真・京都大学准教授を招聘し、田村知子会員との鼎談を通じてカリキュラム・マネジメントのあり方を再考することとした。(大会運営委員会顧問:千々布敏弥)